義務化されたストレスチェック制度制度の目的と実施の流れとは

ストレスチェック制度の実施 コンテンツ

ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度です。

従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務が発生し、平成27年12月1日から施行された制度です。

(引用:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html

ストレスチェック制度の目的

このストレスチェック制度は、精神疾患の発見が目的ではありません。メンタルヘルス不調の未然防止を主たる目的としています。

また、実施するに至っては、労働者個人が特定されずに職場ごとのストレスの状況を事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討しなければなりません。

「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が50人以上いる事業所では、2015年12月から、毎年1回、この検査を全ての労働者(※)に対して実施することが義務付けられました。

※契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。

ストレスチェック制度の実施の流れ

ストレスチェック制度(準備から事後措置まで)は、以下の手順で進めていきます。2015年12月1日から2016年11月30日までの間に、全ての労働者に対して1回目のストレスチェックを実施する必要があります。

ストレスチェック制度の実施の流れ

ストレスチェック制度の導入前の準備は?

まずストレスチェック制度を導入するに至り、会社として「メンタルヘルス不調の未然防止のためにストレスチェック制度を実施する」という旨の方針を示しておくことが大切です。その上で、会社の衛生委員会で、ストレスチェック制度の実施方法などを話し合っていく必要があります。

1.話し合いが必要な項目

  1. ストレスチェックを誰に実施させるのか
  2. ストレスチェックをいつ実施するのか。
  3. どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか。
  4. どんな方法でストレスの高い人を選定するのか。
  5. 面接指導の申出は誰にすればいいのか。
  6. 面接指導はどの医師に依頼して実施するのか。
  7. 集団分析はどんな方法で行うのか。
  8. ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか。

話し合って決まったことを社内規程として定めておいて、文章にして明文化しておくことを忘れずに行いましょう。そして、全ての労働者にその内容を知らせることが必要です。

2.実施体制・役割分担を決める

実施体制と役割分担についても合わせて決めておく必要があります。

  • 制度全体の担当者
  • ストレスチェックの実施者(外部委託可)
  • ストレスチェックの実施事務従事者(外部委託可)
  • 面接指導を担当する医師

ストレスチェックの実施

1.質問票を労働者に配布し記入してもらう。

使用する質問票は、以下の種類の質問が含まれていれば、特に指定はありませんが、何を使えばよいか分からない場合は、国が推奨する57項目の質問票(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/150803-1.doc)を使うのも一つの方法です。

  1. ストレスの原因に関する質問項目
  2. ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
  3. 労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目

ITシステムを利用して、オンラインで実施することもできます。厚生労働省がストレスチェック実施プログラムを無料で公開しています。

厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムダウンロードサイト「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト

2.質問票の回収

記入が終わった質問票は、医師などの実施者(またはその補助 をする実施事務従事者)が回収してください。ここで注意しなければならないのは、第三者や人事権を持つ職員が、記入・入力の終わった質問票の内容を閲覧してはいけません。

3.医師によるストレスの程度を評価

回収した質問票をもとに、医師などの実施者がストレスの程度を評価し、高ストレス※で医師の面接指導が必要な従業員を選びます。

自覚症状が高い従業員や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者を高ストレス者として選びます。

選び方 が分からない場合は、以下の URL に掲載されている「ストレスチェック制度実施マニュアル」の40ページに記載されている基準を参考にしてください。

ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等
ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等について紹介しています。

4.結果を本人に通知

結果(ストレスの程度の評価結果、高ストレスか否か、医師の面接指導が必要か否か)は、実施者から直接本人に通知されます。ここでは、結果は企業には返ってきません。結果を入手するには、結果の通知後、本人の同意が必要です。

5.結果の保管

結果は、医師などの実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が保存します。結果を企業内の鍵のかかるキャビネットやサーバー内に保管することもできますが、第三者に閲覧されないよう、実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が鍵やパスワードの管理をしなければいけません。

面接指導の実施と就業上の措置

ストレスチェック結果で「医師による面接指導が必要」とされた労働者から申出(※1)があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施(※2)しましょう。

※1:申出は、結果が通知されてから一ヶ月以内に行う必要があります。

※2:面接指導は申出があってから一ヶ月以内に行う必要があります。

面接指導を実施した医師から、就業上の措置の必要性の有無と その内容について、意見を聴き、それを踏まえて、労働時間の短縮など必要な措置を実施しましょう。

面接指導の結果※は事業所で5年間保存が必要です。

記録を作成・保存してください。以下の内容が含まれていれば、医師か らの報告をそのまま保存しても構いません。

  1. 実施年月日
  2. 労働者の氏名
  3. 面接指導を行った医師の氏名
  4. 労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状態
  5. 就業上の措置に関する医師の意見

何に気をつければいいのでしょうか?

ストレスチェック制度は、労働者の個人情報が適切に保護され、不正な目的で利用されないようにすることで、労働者も安心して受 け、適切な対応や改善につなげられる仕組みです。

このことを念頭において、情報の取扱いに留意するとともに、不利益な取扱いを防止することが必要です。

カナエルでは、ストレスチェックの実施サポートを行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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