昨今、物流会社や運送会社の人材採用が難しくなり、ドライバーだけでなく倉庫スタッフの人材確保も悪戦苦闘している企業の採用担当者の方は多いのではないでしょうか?
インターネットを使った通信販売市場の拡大に伴い、荷物や倉庫、そして荷物を運ぶトラックの数も増えたことで、物流会社や運送会社の人手不足はますます深刻化していると言えます。
人手不足からくる労働問題も山積しつつあり、大手物流会社である佐川急便が週休3日制を導入し、従業員の柔軟な働き方を推奨しました。近い将来起こりうる労働力不足を備える動きが活発化してきています。ヤマト運輸も週休3日制を導入することを検討し始めましたし、国を挙げての「働き方改革」が進みだしています。
ただし、やはりそれでも人材の流出はあるわけで、人材を確保するためにあらゆる採用媒体に出すものの予定の採用人数を確保することができないという企業が多くあるのも現実です。
そこで、今回は、カナエルが結果にコミットした大手物流会社の物流センターの採用代行事例をご紹介します。
【クライアント】大手物流会社
(※写真はイメージです。)
- 埼玉県の某都市に倉庫を構える大手物流会社の物流センター。
- 本社:東京
- 従業員数:2,000名以上
- 物流センターが全国に点在
ミッション内容:5月末までに50名の採用
採用条件
採用条件は以下の通りです。コミットするミッションは、「6週間で50名の採用」でした。
- 年齢:18歳以上55歳までの男女
- 勤務条件:週4日以上、原則長期勤務希望者 ※
- 雇用形態:アルバイト及び契約社員
- 通勤条件:マイカー通勤及び公共交通機関(送迎バス利用含む)
※週4日勤務(土日祝日含む)、週5日勤務(平日休み希望者)、週5日勤務(土日休み希望者)
ちなみに、昨年同時期の採用活動として、クライアントの大手物流会社が自分たちもしくは媒体を取り扱っている人材会社を活用したうえでの採用実績は0人でした。
【結果】僅か3週間で予定の50名の採用に成功
まず結果から申し上げますと、当初6週間で50名の物流センターのスタッフを採用してほしいという依頼でしたが、結果は3週間で50名の採用に成功しました。
また、3週間で採用が完了したことにより、一人当たりの採用がこれまでは100,000円以上かかってしまっていた状況でしたが、一人当たりの採用コストを50,000円でに抑えることができました。
活動内容:カナエルが行った採用代行とは?
カナエルが行った採用代行の内容は以下の通りです。
- 採用計画の立案
- 募集求人媒体の選定
- 説明会・面接会場の確保・予約
- 説明会資料の作成
- 面接(最終面接を除く)
採用計画の立案
まずカナエルが行ったのは、クライアントである大手物流会社の採用担当から、今回の希望条件をヒアリングし、「予算」「募集期間」「採用人数」を決定しました。
今回対象の地域は埼玉県の某都市でしたが、国税事務所の資料からその都市の労働人口を分析し労働者がどこから流入しているのかを数値化。そしてその都市に適合した求人広告媒体を選定しました。
カナエルが、媒体を扱っている人材会社と違うところはここです。
募集求人媒体の選定
採用計画から求人媒体の選定を結果、今回求人広告を掲載した媒体は以下の通りです。
- タウンワーク(A市版・B市版・C市版) 掲載予定期間:4/17~5/21
- ユメックス(折込・WEB) 掲載予定期間:4/23~5/14
- 求人ジャーナル(折込・フリーペーパー・WEB) 掲載予定期間:4/23~5/14
- クリエイト(折込) 掲載予定期間:4/23
- アイデム(折込・フリーペーパー) 掲載予定期間:4/23~5/6
- バイトル 掲載予定期間:4/24~5/17
- マイナビバイト 掲載予定期間:4/24~5/8
各媒体の求人・応募効果
実際の各求人媒体の応募効果は以下の通りになりました。
- 総応募:応募があった人数
- 有効応募:採用条件に合致した55歳以下の応募数
- 無効応募:採用条件に合致しない応募数
- 面接設定数:面接の日程調整を行った人数
- 面接参加数:面接を行った人数
- 内定:内定を出した人数
- 入社:入社した人数
当社では、クライアントの採用条件に合致した応募者を集め、1次選考までをすべてコミットいたしました。最終面接、および内定はクライアントに行っていただきました。
各求人媒体の結果から、有効応募率が当初の予測は75%と想定していましたが、結果は90%と予想以上に有効応募数を獲得。また面接設定率も当社の予想では56%を想定していましたが、88%の面接設定率となりました。最終的に、当初のクライアントの希望通りに50名を超える入社を決めることができました。
エリア別の応募状況
以下は、今回の応募者のエリア別の応募状況をグラフにまとめた表です。物流センターのあるH高市に応募が集まるだけではなく、H高市の労働人口からどの地域から働きにH高市に来ているのかを国税事務所の統計データより分析。実際にその周辺に求人媒体を出すなどして仮説を持ってエリアに求人情報を掲載。
実際にS山市、H能市、I間市などからH高市へ働きに来ている人口が多かったように、今回の応募も想定通りの地域から応募がありました。
実際に応募があるだろうと思っていたH子市にもタウンワークを掲載しましたが、応募はたった1名など想定外の部分もありましたが、このように地域別の応募数を分析することで、次回の求人広告の掲載時の参考資料として活用できるだけでなく、採用コストの効率化を図ることができます。
自社で求人を出して、実際に応募者のエリアを統計資料としてまとめていない場合は、是非まとめてみることをオススメします。実際の求人募集をかけているエリアがミスマッチを起こしているか否かが明確になります。
費用対効果
物流業界の平均的な一人当たりの採用コストは、平均して100,000円前後と言われており、当社は今回の目標数値を88,381円と設定いたしました。この数字はあくまでも入社に至るまでの人数を今回のコミション料から割り出した数字です。電話や面接者のコストは加味されていません。
実際には、39,639円の採用コストを達成!
今回、当社が採用代行を行った結果、採用コストは当初の目標値を大幅に上回る39,639円となりました。もちろんこの数字に、クライアント様も驚かれておりましたが、求人広告の原稿作成から訴求内容の決定、また面接会場の設定から面接までの誘導(電話など)まですべて一貫して任せて頂いたから最大限の効率化が実現できたと自負しています。
効果検証
媒体訴求について(PV数)の検証
下記はあるインターネットの求人媒体に掲載した際の、PV(ページビュー)数の推移の例です。
一覧PV数は、求人情報の一覧ページでその求人情報が表示された回数を示します。詳細PV数は、実際にその企業の求人詳細ページを閲覧した回数です。
一覧ページに掲載されて、詳細ページへ遷移した遷移率を比較すると他社と比べても2倍~3倍強の遷移率となっています。
媒体掲載時の発見率や訴求力を意識して原稿作成にあたった効果が表れています。
「フリーワード検索時の人気ワードを原稿内に記載」「ネット検索軸の駅設定」などを工夫することによって、他社の派遣会社原稿よりも一覧表示される回数が増える結果となりました。また、詳細PV数への遷移率が11%と派遣会社案件の遷移率を大きく上回ったのですが、中でもスマートフォンからの詳細表示が1,109件と派遣会社案件と比べても2倍以上の閲覧者が詳細まで進んでいることが分かります。その要因としては、ネットに表示される画像がスマートフォンから見やすいように工夫したことや、「オープニング」とすぐわかるような原稿を用意したことなどが挙げられます。
市況感と母集団推移についての検証
以下は、実際の求人掲載期間の競合の求人掲載数と応募の母集団推移のグラフです。
派遣企業の掲載もこの期間は多かったのですが、前述の採用施策により計画通りの母集団(応募数)を獲得することができました。ただし、上記のグラフから分かるように募集期間が長くなるほど、求人鮮度が落ち、母集団形成が厳しくなる(量と質)傾向にありますので、いかに良いスタートダッシュが決められるかが、今後の採用活動のポイントとなります。
応募数の減少は媒体の露出量にも一部比例はしてきます。
採用活動の運営について(受付~面接設定まで)
面接の受付~面接設定を行いました。その運営の中で当社が行ったことをご紹介します。
1.期間中、常時2~3名での受付対応を実施。(毎日9:30~22:00)
電話応募者の取りこぼしや応募日から面接誘導までをスピーディーに行うことで、面接参加率の向上へとつなげることができました。(電話&メール対応)
2.面接予定者へのリマインド対応を実施。(面接日及び海上アナウンス)
面接予定日3日前、前日と電話及びショートメールにてリマインド連絡を実施。当日辞退を減らすための対処を行いました。
3.当日連絡の対応を徹底。
当日の確認対応(時間や会場)をしっかり行うことで、面接参加率向上や当日辞退者を減らすことができました。
採用活動の運営について(面接~合否判定まで)
一次面接~合否判定までも当社にて運営代行を行いました。その運営の中で当社が行ったことをご紹介します。
1.面接準備・実施
参加しやすい会場設定(駅前の分かりやすい場所)を行い、説明会で使用する資料の作成を行いました。簡易資料だけでなく、アンケート、評価シート等を作成し、適性試験の導入を行いました。適性試験は紙面で応募回答するのではなく、パソコンを活用して結果を判定できるようにしました。
また、面接説明会をこれまで12回の開催だったのを計32回開催し、面接への誘導率の引き上げを行いました。
2.合否判定
適性試験を実施し、面接者の主観だけでなく客観的なツールを使用することで公平な判定に努めました。また、合否判定のスピード化に注力し、クライアントの面接官および当社の面接官を一緒に配置することで当日合否判定をその場で行い、応募者へ合皮のフィードバックをスピーディーに行うことを心掛けました。
総括
昨年、採用実績0人という状態でしたが、採用活動をしっかり行うことで当初の予定よりも早く目標の50名の採用を実現することができました。
今回の結果について総括としてまとめると以下の通りです。
- オープニング・直接雇用など、求人引き合い条件等も重なり予定以上の母集団が獲得できた。
- クライアントの協力もあり、多数の説明会の開催、合否判定のスピード化も実現したことで短期間で予定以上の人員が確保できた。
- 別課題でもあった、事務スタッフやフォーク免許保持者の採用もできた。
- 運営に関しては、完全請負方式だったため、スピード化と柔軟な業務対応ができた。
- 応募条件と採用条件のミスマッチ(残業・通勤手段)もあり、取りこぼしも発生。(スキル合格レベル、条件ミスマッチでの取りこぼし37名)
- マイカー通勤希望者への早期対応(駐車場が確保できず、辞退もしくは不採用)
- 採用条件に柔軟性を持たせることで、より採用の確保が今後は見込める。
次回以降の採用ポイントとして、「マイカー通勤&NO残業希望者をどう取り込むか?」が挙げられます。
今回は、駐車場の問題でマイカー通勤者を募集途中で採用しない方向になりましたが、これは母集団形成をするうえで一つの改善すべき課題です。また柔軟なシフト管理(勤務日数や残業調整)を行うことで、これまで以上の採用人数の確保が見込めると思われます。